深刻な事業承継問題
どの職種でも後継者がいないので廃業をとよく聞きますが、つい最近、事業承継の問題がホントに深刻なんだと実感することがありました。これは建設業での話です。
建設業界特有の難しさ
新築やリフォームは1つの専門工事だけで完成しないのが普通です。現役で活躍中の専門工事業者さん同士が複数の業種にまたがってつながっている場合には、うまく連携して工事を完成することができます。
ところが、専門業者さん(事業者)の世代が入れ変わるような端境の時ですと、前に頼んだ業者さんがもう止めていて、急に代わりを見つけられないなどで、結局受注できないこともあり得ます。
それは建設業者さんにとって仕事のチャンスを失う事業の危機ですが、一方でお客さんにとっても損失が大きいです。欲しいものをなかなか実現できなかったり、リフォームですと、時間が経つほど修理箇所の傷みが酷くなるなどの損害が大きくなり、生活に響くからです。
協力業者会があるような大きな事業者さんですと、継続的に取引上のつながりを持てますが、そんな事業者さんばかりではありません。また地域に根をはって一目置かれている事業者さんでも、そういう会に属しているとは限りません。案外、取引以外の個人的な知り合いから、その都度異なる業種のつながりを見つけてこられてるように感じる時があります。
また異なる業種間をマッチングする機関もありますが費用もかかりますし、専門工事業者さんの分厚いつながりをどう築き維持するかというのは、すぐに解決できるようなことでもありません。
活性化に向けた動き
一方で、そんな大きい話ではなく、また少し方向も違いますが、個々の事業者が取組めるCCUS(建設キャリアアップシステム)や、技術者・技能者が取り組めるCPD受講があります。
事業者はCCUS(建設キャリアアップシステム)の設置・利用により、技能者の就業実績を蓄積して能力を客観的に評価し、これを技能者の賃待遇に適切に反映さすことで、技能者の定着に結びつけることができます。ひいては職場環境の改善にもつながると言われています。
また技術者・技能者がCPD受講を通じて継続的に知識技術を取得し、現場で高品質の工事をすることで、事業者、そして建設業界全体の技術の向上・活性化・安定化と業界への信頼につながると言われています。
とは言え、CCUSのカードリーダーの設置に費用がかかったり利用の手続きが難しかったり、CPDも受講した時間数がそのまま評価されるわけではないので、実際の加入率はまだまだこれからのようです。
それでも事業者さんにとってはCCUSのカードリーダーを設置することが経営事項審査で加点されることになっていますし※、既にCPD受講の技術者技能者は、同じく経営事項審査での加点対象です。事業者と技術者技能者のどちらにも有利に働くシステムではあります。
いろんな方面から地道に努力している業者さんに、事業のチャンスと発注者の満足を実現していただくために、心からご支援させていただきます。
地域で頑張る事業者様のお役に立てましたら幸いです。
※ 審査基準日 令和5年8月14日以降の経営事項審査申請